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部屋に入ってきたの人間は、禿頭で太り気味の体型をした中年の男でした。
人間は机の上などをごそごそと漁り、何かを手に取ると、またあの大きな音をたてながらすぐに部屋から出ていきました。
マリオネットは人間が出ていくまでの間、熊の人形の隙間から体を震わせながらジッと人間を見ていました。
マリオネットはその人間に見覚えがあったのです。
今となっては思い出したくもない、自分の左足が無くなってしまった時に見た男が、今目の前に現れた人間だったのです。
マリオネットはとても、とても恐ろしくなりました。
自分の足をもぐような人間が、扉の向こう側にいる。
そう思うと頭の中は真っ白になり、体の震えは止まらなくなりました。
マリオネットはあまりの恐怖に座り込み、必死で目を閉じました。
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