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今日はいつもより、観客が少なくみえました。
マリオネットは今日も、踊りを踊っていました。
そしてこの踊りのクライマックスが近づいてきました。
ふとその時、マリオネットはなにか違和感を感じました。
マリオネットがその違和感の正体を理解する前に、それは起こりました。
ブチリ、と、音がして、右手に繋がっていた糸が切れたのです。
続いて左手の糸も切れて、マリオネットの両腕は途端に自由になりました。
マリオネットは糸が切れたその瞬間、無意識に動いていました。
両足と帽子に付いた糸を引き契り、舞台の上から飛び降りたのです。
マリオネットを縛り付けていた糸は、古くなって脆くなりマリオネットの力でも簡単に引き契ることができました。
舞台から飛び降りたマリオネットは、猛然と走りはじめました。
観客は突然独りでに動き始めたマリオネットに驚き悲鳴をあげ、マリオネットを操っていた人間は呆然とマリオネットが走り去るのを見ていました。
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