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マリオネットは走りました。
マリオネットは初めて見る外の景色に、初めて手に入れた自由に歓喜しながら走って走って、走り続けました。
マリオネットは暫く見知らぬ場所を走り、ふと不思議な匂いに気が付きました。
なにか少ししょっぱいような、よく分からない匂いでした。
ゆっくりと走るスピードをゆるめ、ふらふらと歩き始めたマリオネットの目の前に、不意に蒼く、とてつもなく広い『何か』がひろがりました。
マリオネットは暫しその広大な『何か』を、とても高い位置から見下ろしていました。
その『何か』は見ているだけで心が癒されるようなものでした。
暫らくその『何か』に見惚れていたマリオネットの耳に、
「見つけたぞ!!」
という濁声が聞こえてきました。
その声に振り返ってみると、マリオネットを舞台の上で操り、そして一度マリオネットの左足をもいだ人間が汗だくで走り寄ってきていました。
マリオネットとの距離まであと5メートル程の位置で人間は足を止めました。
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