マリオネット

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マリオネットが唖然と両腕を見ながら、取り敢えず右腕を動かそうとした瞬間、自分の意に反して体が勝手に動き始めました。 いよいよ本格的に焦り始めたマリオネットは、辺りの光がより一層強くなったことに気が付きました。 よく見ると、目の前の布がだんだんと上へ持ち上がっていくのが分かります。 それと同時に、今の今まで静かだった辺りに音が溢れはじめました。 それは大きい、初めて聞く大きい音。 音は布が持ち上がるにつれて更に大きくなりました。 マリオネットにはその盛大な音がただの雑音にしか聞こえません。 この耳障りな雑音を聞くまいと耳を塞ごうとしましたが、両手は何かに引っ張られたまま、微動だにしませんでした。 眩しすぎる強い光と痛いくらいの大きな音から逃れるように、マリオネットはギュッと目を瞑りました。
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