† Ⅰ †

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心地いい倦怠感の中、意識が浮上する。 無意識に隣にある温もりを手探りで探す。 いつもはすぐに見つけられるのに今朝に限ってシーツを這う指は愛しい人を探しきらない。 「…ユチョン…?」 まだ重い瞼を少しだけ上げる。 「ユチョン…?」 間近にあるはずの寝顔に呼び掛けても返事は返って来ない。 不安になって僕はガバッと起きあがった。 嫌な予感がして慌ててベッドを降りる。 見慣れた部屋の中に湧き上がる小さな違和感。 下着一枚なのも構わずに部屋を出てリビングに向かう。 「ジェジュン、ユチョンは…?」 ドアを開けて叫んだ僕の耳に悲鳴に近い叫びが聞こえた。 「お兄ちゃん!!パジャマ着てよ!」 「まぁまぁ。早く着替えないと遅刻しちゃうわよ?」 リビングには……… 僕の知らない日常があった。 .
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