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「よっ、昨日は寝れたかよ!?」
空港の1階ロビーで待ち合わせしていた旧友に高嶺尋臣(タカミネ ヒロオミ)は後ろから弾んだ調子で声をかけた。
振り返った友人の高山信彦の顔はつやつやに輝いており、目の隈も見受けられない。
返答を聞かなくともわかる。相当ぐっすり眠れたらしい。
「おぅ、完璧ってもんよ!このくっきり開いた目、輝いた唇、張りのある肌、剃り残しのないひぐぅえっおあえ―――」
「わかったわかった。最後何言ってるかわかんないけど、お前の言いたいことはわかったから」
尋臣は信彦の顔を鷲掴みして会話を無理矢理終了させる。
残念そうな面持ちな信彦だが、いかんせん、修学旅行初日の集合時間はとてつもなく早いのだ。
つまり寝不足な今日の尋臣に信彦のハイテンションは正直煩わしいだけだった。
まぁいつも煩わしいと思ってるのだが、それは心の中にしまっておくことにした。
そんなわけで二人一緒に集合場所に向かうと集合場所には既に多くの生徒が集まっていた。その姿を見て二人にはようやく実感が湧いてきた。
自分たちはこれから高校生最大のイベント修学旅行に出発するのだと。
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