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すると、桜はそのとおりと言わんばかりに大きく頷いた。
「最低でも三十分、普通だと二時間から三時間ぐらいかな」
「そんなにかかるのか?」
「私の場合はね。でも私は早い方だと思うよ。その指輪みたいに、物に力を入れるだけならそんなに手間もかからないし。それに、私は他の霊能者とは違うからね」
確かに、桜は涼太の知っている霊能者とは違う。
霊能者と言われて思い浮かぶのは、心霊番組に出てくるなんとか寺の坊さんとか、格好は普通でも手に数珠を持っていたりとかだ。
それに、お守りとなると、数珠かお札ぐらいしか思い浮かばない。
「さて、と。そろそろ予鈴が鳴るし、後は授業が終わってからだね。放課後にまたここに来て。それまで絶対指輪を外さないこと。いいね」
桜は、しっかり念を押してくる。
「あ、ああ。分かった」
涼太がそう答えた直後、予鈴が鳴った。
授業開始五分前を知らせるチャイムに、涼太と桜はほぼ同時に屋上を出た。
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