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残り二時間が過ぎるのが、やけに遅く感じた。
六時間目が終わり、帰りのHRが終わると、涼太は教科書をリュックに詰め込んで立ち上がった。
いつもならそのまま帰りがてら遊びに行くが、今日はそうもいかない。
命がかかった、大事な約束があるのだ。
リュックを肩に背負って教室を出ると、真っ直ぐに屋上へ向かう。
昼休みの時ほど急ぐ必要はないが、急ぎながらも自分のペースで階段を上る。
それが、どこか不思議だった。
昼休みまでは、早く桜に会って話を聞いてもらわなければとそればかり考えて、授業も右から左へスルーしていたのに。
その後の授業はどうだったと言われれば、あまり集中はできなかったが、それまで感じていた焦りはなくなっていた。
階段を上りながら、ふと右手に目をやる。
右手の人差し指には、桜が力を入れてお守りにしてくれた指輪がある。
少しゴツいが、気に入っているデザインのシルバーの指輪だ。
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