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あの時は何も感じなかったが、桜に話を聞いてもらえたのと、何とかなると分かったからだろうか。
昼休みまでずっと感じていた恐怖や焦りが、なくなった。
もしかしたら、この指輪のおかげかもしれない。
そう思うと、見慣れた指輪が凄い物のように見えた。
(あれだな。ゲームに出てくる魔法のアイテム、みたいな?)
そんなことを考えていたら、この後のことが気になった。
昼休みの時、桜は時間がないからと言ったが、何をするのだろう?
よく見る心霊番組のようにお経を唱えて、お祓いをするのだろうか。
確かテレビでは、お祓いを受ける人は正座をしていたような気がする。
……あの固いコンクリートの上で、正座。
正座なんて滅多にしない涼太は、そう考えた途端、気が滅入ってきた。
とは言え、行かなければ命が危ないわけで。
何度目かのため息をついたところで、ようやく屋上に着いた。
昼休みと同じようにドアは開いていたが、何か声が聞こえる。
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