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それから、何か重い物を振り回しているような音も。
なんとなく嫌な予感がして、涼太がこっそり屋上を覗くとーーー
「チャーララ~、チャラーララ~……」
(しょ、将軍!?)
なぜか某時代劇のテーマソングを口ずさみながら、鉄バットを振る桜がいた。
あの重い音は、どうやらバットをスイングする音だったらしい。
(なんで将軍、いや鉄バット……てか、何で鉄バットなんか持ってんだよっ!?)
思わず脳内ツッコミを入れる涼太だが、それが仇になった。
桜が涼太に気づいたのだ。
(やべっ!見つかった!)
が、時すでに遅し。
鉄バットを杖代わりに手を置いた桜は、ニッコリ笑って涼太を迎える。
その笑顔が、今の涼太には怖い。
「来たね、待ってたよ」
「お、おう」
できればそのまま帰ってほしかったと思いながら、元気のない声で返事をするが、視線は鉄バットに釘付けだ。
どうにも、鉄バットが気になってしょうがない。
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