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「な、なあ。一つ聞いてもいいか?」
「いいよ、何?」
「そのバット、何?」
震える指で鉄バットを指さすと、桜は片手でひょいと持ち上げて肩に置く。
「ああ、これ?野球部から借りてきたんだー。現地調達?」
「現地調達って……」
(鉄バットなんて現地調達する物じゃないだろっ!?)
今日二度目のツッコミだが、当然それは涼太の脳内で発動する。
「やっぱ使い慣れた物の方がいいからねー。でも野球部でもないのに、学校に鉄バットを持ってくるのも変だし。だからちょっと貸してもらったんだ。で、慣らしがてら振ってたの」
(野球部でもないのに、何で鉄バットを使い慣れてんだよ?)
三度目のツッコミ発動。
当然、これも脳内でだ。
「おい……まさかとは思うが、それで除霊するとか言うんじゃないだろうな?」
「そうだけど?」
何か問題でも?と言いたげな桜に、涼太は全身から血の気が引いた。
あんな物で殴られたら、幽霊に殺される前に桜に殺される。
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