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「……ああ、ちゃんと聞こえてるよ」
元気のげの字もない声に、桜がやれやれとため息をついた。
「私が他の霊能者とは違うってのは言ったよね?」
そう言えば、そんなことを言っていたような。
涼太がうなづくと、桜は続ける。
「他の人はほら、お経とかあげたりするじゃん?あれって、要はそれが幽霊とかに対する武器みたいなものなの。で、これが私の武器ってわけ」
(だから何でそれが、よりにもよって鉄バットなんだよ?)
鉄バットを持った女子高生なんて、誰が見てもこれから殴り込みに行くと思うだろう。
まさか幽霊退治をするとは思うまい。
「いざとなったら戦わなくちゃいけないしねー。使わずにすめばそれにこしたことはないんだけどさ。ま、それはさておき始めようか」
桜は、肩に置いていた鉄バットをドアの方に向ける。
すると、強い風が吹いたわけでもないのに、ドアが閉まった。
これに、涼太は目を丸くして驚く。
「お前、今っ……!?」
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