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桜も涼太も、ドアから少し離れたところにいる。
手が届く距離じゃないし、ましてや鉄バットを持っていても届く距離じゃない。
「誰かに見られても面倒だしね。なーに驚いてんの?私が普通じゃないのは分かってるでしょ?」
そう言って、桜は笑う。
涼太は何も言えず、バカみたいに口を開けたまま桜を見ることしかできなかった。
だが桜は、そんなのお構いなしにさっさと除霊を始める。
「とりあえず、そこに座って」
「あ、ああ」
言われるままに、涼太はその場に正座した。
いつもなら胡座をかいて座るが、ここに来る前に正座するのかと考えていたせいか、思わず正座してしまった。
桜は涼太の前で膝をつくと、手を涼太の胸に当てる。
「な、何だ?」
声が裏返る。
こんな風に女子に胸を触られたことのない涼太は、思わずドキドキしてしまった。
シャツ越しに、桜の手が当たっている感触と、体温が伝わってくる。
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