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「ちょっと我慢して。今、君の体を視てるから」
そう言うと、桜は集中するためか目を閉じた。
涼太は沈黙に耐えられなくて、目の前にいる桜から目線を外していたが、それでもちらちらと桜を見てしまう。
可愛いとか、美人だとか言われる顔立ちではないが、線の細い顔はやっぱり女の子だ。
どこにでもいる、普通のーーーいや、顔立ちだけは平凡そのものの。
同じ学年ということもあって、何度か桜を見たことはあった。
だがそれはすれ違うぐらいで、思春期真っ只中の健康男子としては、やっぱり好みの女子や可愛い子とかキレイな子とか、目を引く体型をした女子なんかに目がいくもので。
人気の高い女子の話はよく話題に出るが、桜のことも少しだけ聞いたことがある。
一年二組の結城桜は少し変わっている、というあまりいい噂ではなかったが。
変わっていると言うと聞こえは悪いが、確かに桜は普通の女子校生じゃなかった。
「……見つけた」
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