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急いで階段を駆け上がり、息が切れてくると、ようやく屋上のドアが見えた。
開いたままのドアからは、日の光が差し込んで眩しい。
ゆっくり階段を上り、呼吸を落ち着けてから屋上に出る。 校舎の中と違って、屋上は予想以上に涼しかった。
今日は少し風が出ているようで、吹き抜ける風が気持ちいい。
もう少しこの風を堪能したかったが、すぐに目的を思い出し、結城を探す。
だが、何のことはない、すぐに見つかった。
ドアのすぐ横、日陰になっている辺りに足が見える。
覗きこむように見ると、女子が一人、フェンスにもたれて足を伸ばして座っていた。
結城桜ーーー涼太の探していた相手だ。
半袖のシャツに黒と緑のチェックのスカート。
胸元には学年ごとに色の違う、涼太と同じ赤いネクタイを巻いている。
一度も染めたことがないだろう黒い髪は、後ろだけが少し長い。
顔はこれといった特徴もなく、平凡そのもの。
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