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涼太自身、金髪で少し髪をいじっているのと、少し目がつり上がり気味なぐらいしか特徴がないので、人のことは言えないが。
桜は、本を読んでいた。
「……あのさ、それ以上近づかないでくれる?」
声をかけようとすると、視線を上げることもなく桜がそう言った。
その声は、女にしては少し低い。
「なんか変なモノ連れてるみたいだし。悪いけど、それ以上近づかないでほしいんだよね」
本を閉じると、桜はようやく涼太を見た。
が、涼太を見た途端、桜の表情が何とも言えないものになる。
あえて言うなら呆れたような、妙に納得したような、そんな表情だ。
「誰かと思えば君か。どうりで」
「結城、俺っ……」
「おっと!それ以上近づかないでって言ったでしょ。察しはつくけど、話があるならそこでしてくれる?」
動くなと手を突きだして、桜は涼太が近づくのを止めた。
嫌がらせのようにも思えるが、桜にそんな様子はない。
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