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どうしても桜に話を聞いてもらわなければならない涼太は、とりあえず言われたとおりにした。
「わ、分かった。その、お前に聞きたいことがあるんだ」
「聞きたいこと?」
明らかに面倒くさそうな顔をして、桜は聞き返す。
「お前、霊能者かなんかなんだろ?その、お祓いとか除霊とか、そういうことはできないのか?」
そう聞くと、桜はやれやれだと言わんばかりに息をついた。
「その様子だと、相当な目に遭ったみたいだね。で、命の危険を感じて私のとこに来た、と。まあ、無理もないっていうか、当たり前っていうか」
呆れたようにそう言って、桜はじっと涼太を見る。
だがその視線は涼太ではなくーーー涼太の後ろを見ていた。
思わず後ろを振り返るが、誰もいないわけで。
「や、やっぱりなんかいるのか?お前、見えてるんだろ?」
情けないことに、声が震えた。
涼太には見えないが、確実に桜の目には何かが見えていると分かったから。
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