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しばらく沈黙がつづいたが、れんがそれを破った。
『すみません。暗くなっちゃって。』
れんは少し笑いながら言った。
『違うんです。母は幸せだといつも言ってます。それはあの頃があったからだと。だから、私にもいい恋をしなさいって、この名前をつけてくれたんです。
ただ、私が幼かったから。なんとなく思い出さないでほしかったのかも。泣いてほしくなかった。それに…。』
れんはその先の言葉は飲み込んだ。
口には出したくなかった。
-なんで、私にそんな話をしたの?
…お母さんは、お父さんのこと好きなの?
…私は…産まれてきてよかったの?-
また、うつ向いたれんになんと言っていいか、分からなかった。
ただ、聞くんじゃなかったという後悔が渦巻いていた。
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