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しばらくモゴモゴとしていた圭は早口で言った。
『お、俺、好きな人いるよ。』
聞かれたことに答えただけなのに、ダラダラと汗が出る。
れんが口を開くのが怖い。
『その、今、幸せですか?』
れんの質問は意外なものだった。
でも、その質問には答えが決まってる。
『幸せだよ。たとえ、フラレても…ね。』
『す、すいません。大丈夫です。一ノ瀬くんは素敵な方です。相手の方もすぐそれに気付きますよ。』
まさか、自分のことを好きだと言われているとは思ってもいないれんは、慌てている。
それを見て、なんだか嬉しくなった。
今は、真剣に「素敵な人」と評価してくれるだけでもよしとしよう。
二人は顔を見合わせて、笑った。
なんだか、すごく楽しかった。
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