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『れ・ん・ちゃ~ん、おはよ。今日も可愛いね。』
『一ノ瀬くん…、おはようございます。』
一見、いや、誰が見たって関わりなさげな二人だが、実は入学当初からの仲だ。とはいうか、彼がなぜか私にかまってくる。
お陰で学校中で彼の次に有名になってしまった。
『毎日なぜ、私の所にやってくるのですか。あなたはこことは正反対の教室でしょ。』
『つれないなぁ、れんちゃんに会いに来てるってのに(泣)』
『何か用事でしたか。教科書を忘れましたか?』
『…そんなれんちゃんが大好き。…古文で~す。』
こんな会話は日常茶飯事。
辺りから痛い視線が飛び交っているが、れんは気づかない。
本人は、毎日、圭がわざわざ端のこの教室までやってきては冗談を言い、教科書を借りに来るのか、考えていた。
これを考えるのがれんの日課になっていた。…一時間目が始まるまでだが…。
古文の教科書を渡し、続きを読み始めようとしたら、圭がジッと見つめていたのに気づいた。
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