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痛みと重みに耐えながら、ルサルカはぐっと右腕を伸ばした。
路地に咲いていたタンポポの綿毛を掴む。
ルサルカは茎ごと手折り、男の目へそれを投げ付けた。
「クソッ」
どうやら命中したようだった。
男は身を起こして目に入った種子を取り除こうと目を擦った。
ルサルカは素早く体勢を整え、キーボードから布を取り払う。
「こんのッ!」
目に生理的な涙を浮かべ、激情した男が殴りかかろうとしていた。
―――すう、
ルサルカの持つキーボードが白い光を放ち、美しい竪琴に姿を変えた。
ルサルカは男の拳を見据えながら、弦を弾いた。
その途端、男が叫びながら地を転がった。
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