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「あ、あっ…ぎゃああああああああああ…っ!」
男は右目を押さえる。
微かにパキッと奇妙な音がしたかと思ったら、目が急に焼かれるように痛んだのだった。
ルサルカは竪琴を弾く。
一つ一つの音が美しい旋律を作り出す。
ルサルカは曲に合わせ異国の言葉で歌を紡ぎ出す。
『育命詩(イクミウタ)』
男は芽が目に根を伸ばすのを感じ指で引っ張ろうとしたが、すでに眼球の表面を覆う根に力を加えるだけで火を付けたかのように痛んだ。
男は這いずり、ルサルカの足にすがりつく。
「頼む、助けてくれ……俺の持ってるものは全部お前にくれてやるよ。だから、な?」
そうしている間にも根は伸び眼球を圧迫した。
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