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ルサルカはじっと男を見ていた。
食い入るように。
観察するように。
緑の瞳は不気味に見開かれ、暗い色彩を映す。
しかしその間もずっと竪琴を弾き続ける。
芽は『育命詩』によって急激な成長を辿っていた。
男の身体が震え、顔は恐怖に引きつった表情を浮かべる。
「頼む…っ!」
男の懇願と同時に、竪琴の音の間にぶつっ、と湿った嫌な音がした。
「あああああああああああああぁぁぁあああぁァァァ」
恐ろしい絶叫が響き渡る。
男は膨大な苦痛に悶えうち、地面を転げ回る。
それでもルサルカは演奏を止めない。
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