夜     †Lento†

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「いらっしゃい、ちょっと待っててくれ」 と、家の奥からディノの声とがたがたという物音が聞えてきた。 「はー…」 ルサルカは上がりきった息を整え、キーボードを両手に大事に抱えて背中をドアに預けた。 「お待たせしま…―!?」 ディノはぞんざいな商売文句を投げ掛けながら、顔を上げ客を確認し…絶句した。 しかし、それも一瞬でディノはすぐ客に走りよった。 「昼間の少年じゃないか!何があったんだ?」 ルサルカは全身ずぶ濡れだった。 頬と唇が切れていて血が滲み、服は乱れ所々破けている。 ルサルカが何から話せばいいのか迷っていると、ディノは側に置いてあった椅子を示した。 「まぁ、とにかく座れ」 「…すいません」 ルサルカは消えそうな声で応じて、椅子に腰掛けた。
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