夜     †Lento†

11/15
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/187ページ
「ちょっと待ってな」 ディノはルサルカを座らせると、そう言って奥に引っ込んだ。 中からゴソゴソと音がして、そこから何かがルサルカへ放り投げられる。 「!?」 突如、視界が暗くなりルサルカは驚く。 バサッと暗闇を顔から取り払うと、それは服のようだった。 「俺ので悪いが着替えときな。風邪ひくよりはマシだろ?」 「あ、ありがとうございます…」 ルサルカは目を白黒させる。 ディノはよし、と頷いて、また違う部屋へ入っていった。 ルサルカはしばらく唖然としていたが、言われた通り着替えることにした。 濡れてペッタリと肌に張り付いた服を脱ぎ捨て、貸してもらったシャツを被った。 ボタンは付いていたが、一つも外さずにすっぽりと中に収まってしまう。 袖もかなり余って、手が出るようにたくしあげた。 「やっぱだいぶでかいか…」 そう言いながらディノが両手にカップを持ち、扉の奥から現れた。 ルサルカの前にカップを一つと、向かいの席にもう一つを置き、自分も座った。 「何があったか、話せるか?」
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!