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コーヒーを飲みおえると、ディノは隣りの部屋から寝袋を持って来た。
「俺のスペアで悪いが、他に寝具がないしな…」
「充分ですよ。ありがとうございます」
ルサルカは寝袋を受け取り、笑みを浮かべる。
180cm台のディノ用とあって寝袋はこれまた大きい。
それを床に下ろしながら、ルサルカはふと訊ねた。
「そういえば、ディノさんはどんな仕事をしてるんですか?」
「ああ、まだ話してなかったっけか」
ディノは頭をポリポリ掻いた。
「俺は『なんでも屋』を営んでる」
「な、なんでも屋…?」
聞いたことのない仕事にルサルカは首を傾げた。
「んー、そうだなー。要するに、依頼された仕事をそのとおりにこなすだけだ。買い物とか、引っ越しの手伝いとか、暗殺とか」
「!?」
ルサルカは最後の一言に身を固くした。
ディノは吹き出した。
「冗談だ、冗談。なぁに、簡単さ。あんま緊張すんな」
夜が更ける。
戸を叩く雨音はいつの間にか止んでいた。
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