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鈍い音が断続的に続く。
ルサルカは固い地面にシャベルを突き立てては抜き突き立てては抜く。
なかなか掘り進めない。
ルサルカは苦戦していた。
故郷の森の柔らかい土とは違い、まるで氷のように固い。
汗が額を伝う。
「まさか、庭までやらせるとはなぁ」
ディノは砂利を指定通りの場所に流しながら、ぽつりとこぼした。
「そういえば、ディノさんは依頼人さんと知り合いなんですか」
ルサルカはシャベルを持つ手を休めずに問う。
「ああ。知り合いっちゃ知り合いか…?言うなればお得意様だよ。ほら」
そう言ってディノは家の一角を指差した。
「あそこはついこの間、俺が塗装したんだ」
「そうだったんですか」
ルサルカは納得した。
周りの家に比べ新築のように綺麗な外装である訳を。
「あいつの子供も、もう十歳らしいしな。そろそろ庭園を作っても荒らされないだろうと踏んだんだろう」
そう言ってそれきり二人はまた作業に集中した。
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