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「思ったより早く終わったな」
ディノが汗を拭いながら、シャベルを地面に放り出した。
そこにはつい五時間前にはなかった庭が出来ていた。
ほとんどディノがやったと言っても過言ではない。
ルサルカは木を三本植えたのと、柵のペンキ塗りのみ。
その間にディノはあっという間にセメントを流し、煉瓦で花壇を作ってしまった。
恐るべき手際の良さである。
「あっ、じゃあ僕、依頼人さんを呼んできます」
ルサルカはまだ乾かないセメントを踏まないようにして、走って行った。
「おう、もうできたのか」
開口一番、依頼主が言ってドスドスと家から出て来た。
「あ、足下にお気をつけ下さい」
ルサルカは何も考えてなさそうな依頼主の足取りに忠告した。
「ん、ああ、ありがとう。…おお!」
依頼主は庭を見て声を上げた。
ディノが、こんなもんでどうですかね、と問う。
「素晴らしい!あまりに早く終わったようだから心配したんだ」
「それは良かった」
ディノは道具を片付ける。
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