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「え?」
彼女が口にしたのは、確かに僕の名前。
名乗った覚えも無いし、名札は脱着式なのでいまは付けていない。初対面で名前を特定だなんてエスパーでもないかぎりは無理だ。
とか、考えていて彼女の問いにきちんと返事をしていなかったのか、
「あなたは……坂東祐司…………だよね?」
同じ問いを、ぶつけてきた。
「あ……うん」
取り敢えず、肯定しておく僕。別に間違っている訳でも無いし、拒絶する理由も無い。それに僕はいま迷子状態で、誰かの助けが無いと帰れないこともあってか、素直に返事をする。
「祐司!会いたかった!!」
彼女は満面の笑みを浮かべると、勢いよく抱き着いてきた。
「ちょっ……えっ!?」
突然の事に、脳の処理が追いつかない。
取り敢えず頭の中の疑問を片っ端から処理していく為に彼女に疑問をぶつけてみる事にした。
「君は……いったい…………」
僕のその言葉に、彼女は表情を少し曇らせた。
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