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「…にしても、昴の執着心は知っていたが-
まさか、マコーネルまで昴の案に同意しつつあるとは…… 少し、まずいことになったな」
「えぇ…。マコーネルさんは執着心より、あの方の身の安全性を考えて、ですが」
シフォンは困惑を表にし、川島は顔をしかめる。
「それにしたって、あそこは…大きな箱庭にすぎない。ソロモン王があそこで死んだのはその身をフランス王から守れたからだ。だから天命のままに孤独死した…
言わば、命が尽きるまであそこに閉じ込められたようなもの… 鳥籠の中の鳥だ。確かに、あそこならソロモン王を護れるが、当時の人間は、とうに滅び、あそこは廃墟となった街と…
かつての王国が眠る場所。
アイツをあそこに身を護るためとはいえ、閉じ込めることに変わりはない。
それこそ、自由を奪うようなものだ。ソロモンの身を護るには良いかもしれないが、俺は昴たちの案には賛同できない」
小さく息をつき、腕を組んだまま岬が先ほど出て行った扉を見つめる‥
「マコーネルさんは、室長… 彼の心がこれ以上、壊れないか‥ それを心配しているんです。もしも、彼をあそこに閉じ込めるなら、マコーネルさんたちのことです。
きっと、彼の今までの記憶を全て消し去るでしょう。……辛い思いをしないように。そして、新たな記憶を植え付ける-
特に、昴が心配です…」
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