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「くすっ… 祖母はフランスが大好きだったんです。親しき友人のいるフランスが本当に大好きだったんです。
その証拠が、この学園の名前の由来。『ルージュ』…とはフランス語で、意味は‥赤や口紅といった意味になるんです」
なるほど…
「理事長室に行く前に通った中庭に咲いていた……あの真っ赤な薔薇か」
「えぇ…。少しやり過ぎるかと思うんですけど、祖母の遺言書には、毎日その花壇には手入れを欠かせないように、と……書かれていたそうです。
おかげで、世間では赤薔薇の学園って言う方もいらっしゃるそうですよ?……少し危険な香りがするとか何とかで、毎年同性愛を求めたホモな方が入学希望で後を断たないそうですよ。
俺としては、かなり複雑な心境なんですがね。祖母が中庭に赤い薔薇を植えたのも、元々薔薇が好きであったからで、色も白よりも赤の薔薇のほうが見映えがいいっていう理由からなのに…」
ぶつぶつとふて腐れるように不満を言うシフォンをちらりと見つつ、クリフェイドは歩んでいた足を止めた。
上を見上げると、職員室というプレートがあった――…。
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