第一章 成人の儀

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           1    ウィングゲート。  この世界の神は、人の背に翼を与えた。  ウィングゲート創成期、世界の生物の力関係をバランス良く保ち、種の保存者として4種類の人間を作り出した。  それぞれ違った翼を有する、人間に世界のバランスを守らせる為に。  速さの黒き翼。  美しき白い翼。  知恵の黒き翼。  力強き褐色の翼。  速さの黒い翼と美しき白い翼は、世界の空を旅しながら平地や水辺に帰る事を好んだ。  知恵の黒い翼は森の近くを好み、力強き褐色の翼は険しき岩山を好んだ。  そして神は、それぞれの種族が交わる事を禁じた。  交わる事で産み出される新たな命は世界のバランスを崩し、やがて破滅を及ぼす存在となるからであった。  混血を産み出してはならない。
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