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「綾小路さんって術者なのに、何でこの学園に?」
休憩時間中、目の大きな人なつっこい感じの女子が一人私に話しかけてきた。
「術者でも多少は武の心得が無いといけないというのが、お父様の教えなので――。
えぇと……」
私が言葉に詰まっている事に気付いた彼女は、
「あぁごめんなさい。
私の名前は、椿 要。
かなめって呼んで ――。
綾小路さん」
「私も桜でいいですよ、要」
「桜も面倒くさい奴の隣になっちゃったね~」
「面倒くさいって、沖田君の事?」
隣にいない彼の席を見て私は要に聞いた。
「うん。
アイツ剣術の腕は上級生も認める程なんだけど、無口でさぁ――。
何考えてるんだかさっぱりわかんないんだよね。
私達とも交流ないしね」
「ふ~ん――。
そうなんだ」
「あ、そうだ!!
解らない事があったら、何でも聞いてね」
「うん!
ありがとう」
休憩時間の終わりを告げる鐘が鳴り、要は軽く手を振り席へと戻っていった。
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