春の風に吹かれて

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男が幼少時から疑問に思っていた事。そう、それこそがハヤシライスである。 あのハヤシライスってのは一体何なんだ。カレーライスとどう違うのだ。確かに味は違う。ハヤシライスは何だか洋風だ。にも関わらず何故だか知らないけどもカレーライスとよく似た風貌であり、しばしばカレーライスと比べられる。 男にとってハヤシライスはカレーライスとは違う未知の料理であり、どこか近寄りがたい人智の及ばぬ世界で作られた得体の知れない料理というイメージがあった。 カレーライスが近所の気さくなおばさんならば、ハヤシライスは旧ソ連の党中央委員会書記長の様な存在であった。
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