春の風に吹かれて

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様々な罵詈雑言が飛び交う。最高齢である76歳の老人は、現在使われていないよく分からない悪口を叫んでいた。 歯を食いしばりながら男は国籍を当てていく。留学生も順次大きく丸を作っていく。容赦のない罵りの中、うっすらと涙を浮かべている女子留学生もいた。しかしこれは後から分かった話であるが、彼女の涙は眠たくて欠伸をしたのが原因だったらしい。恐らく大学には内緒で夜遅くまでいけないバイトをしていたのだろう。 男はスパスパと国籍を当てていく。10人程の国籍を当てた辺りから観客も次第に興味を覚えだし、いつの間にかブーイングもおさまっていた。
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