01.蝉時雨。

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「こんにちは」 「あ、どう……も、?」 「久しぶり、だね」 「ッ…―――」 変わらない、あの日と同じ姿。 半袖のTシャツと短パン。晒された手足は、少し健康的に色付いていて、どこか官能的で。 「ただいま、…いや、おかえり」 俺はただ、手を伸ばした。 もう、どこか遠くへ行ってしまわぬようにと、強く、強く抱きしめる。 あの日と変わらない、君のかおりが広がった。 「ずっと、待ってたよ」 君はまた、俺の前に現れて。 「ずっと、好きだった」 「今も変わらずに」 あの日と同じ蝉時雨。 END  
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