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そこは戦場であった。
仲間が一人、また一人と地に伏せていく。
つい数分前までたわいない話で馬鹿みたいに騒いでいた仲間達。
そんな彼らは今、ただ自分達の所属するギルドの勝利を願い、剣を凪ぎ、槍を突き、魔法を放ち、そして無言の屍と化していった。
当初、ここまで苦戦するとは思ってもみなかった。
連戦連勝を重ね続けてきた結果、知らず知らずのうちに勝利は確定しているという固定概念が植え付けられてしまっていたのだ。
その甘い考えが災いしたのだろう。敵が奇襲を仕掛けてきた事に回復支援を担当する者が倒れるまで誰も気付くことが出来なかった。
気付いた時には後の祭り。本来、最期まで守り抜かなければならない回復魔法の使い手達が、戦闘開始ととも戦場から退場してしまった。
そして更に悪い事に、敵ギルドに最強クラスの者が移籍していたという情報を入手出来ていなかった。
これはその二つの想定外が引き起こした悪夢。いや、『想定外』というのは言い訳に過ぎない。
周りに注意していれば奇襲にも気付けたし、あれだけの大物がギルドを移籍したとなれば、事前に情報を集めていれば間違いなく情報網に引っ掛かりそこで知り得ていた筈だ。
『どうせ格下だし』という慢心が、この惨状を引き起こしたそもそもの原因。まったく、ギルドマスターが聞いて呆れる。
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