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彼、天海裕介はスッと腰に掛けた剣に手を伸ばす。
状況は最悪。これ程のピンチはギルドを旗揚げして以来初めての事だ。しかし、だからと言って敗戦が確定した訳ではない。
ギルドマスターが倒されない限り、この勝負に決着は付かない。
そういう決まりの下で行われた戦争だから。
仲間の屍を踏み締め、前に出る。戦場に逃げ場や悲しむスペースは用意されていない。仲間達の事を真に思うなら、やるべき事はただ一つ。
腰に吊した黄金の剣を引き抜く。この世界に存在する武器の中でも最強を誇る無敵の剣だ。どんな敵もこの剣で打ち倒してきた。これまでも、そしてこれからもそれは変わらない。
『ライジングファルス!』
突然、天から雷が降り注ぎ裕介に直撃する。敵の魔法使いが放った、高威力の攻撃魔法だ。並の者なら瀕死は免れないだろう。
しかし
「それじゃあ俺は倒せない」
剣と同色の黄金鎧。これも剣と同じくこの世界に存在する防具の中でも最強に分類される物の一つ。雷だろうが炎だろう氷だろうが、全ての魔法攻撃に高い耐性を持っている。
『流石だな』
裕介の余りの強さに残り少ない仲間と敵ギルドの全員が驚愕している最中、さも当然だ、という雰囲気で漆黒のローブに身を包む一人の魔法使いが裕介へ近付いてきた。
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