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顔見知り程度の仲だが、この世界にいれば嫌でも耳にする者だ。彼がこの場に居たからこそ、ここまでの甚大な被害が生まれたと言っても過言ではない。
間違いなく、これまで相対したどんな敵よりも強い。あの漆黒のローブは斬撃や打撃などの物理攻撃を極端に軽減する特性を持つ最強のローブの一つ。剣を扱う裕介にとって最悪の敵と言える。
しかし、それは向こうも同じ。いくら最強の魔法使いであっても、この鎧を纏う裕介は決して容易な相手ではない。
濃密な緊張感が戦場を支配する中、敵は杖を構え前に、裕介は剣を構え前に出る。
両者歩みを止めず、徐々にその距離が縮みそして―――
「裕介、ごはんよーーー!!」
「今ムリーーー!」
下の階で晩御飯の準備をしている母親から、夕食の支度が完了した旨が伝えられる。裕介はそれに応じれないと返事を返す。
「あんた、またゲームしてるんでしょ! 頭と一緒に目も悪くなるわよ!」
「大きなお世話だよ! 今、俺が踏ん張らないと負けるんだ!」
「ゲームで負けても死にはしないよ! いいからさっさと降りて来なさい!」
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