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『あっ、ありがとな』
殺生丸の背中に向かって
礼を零すと
髪飾りの羽根を一枚引き抜き
空高くに舞い上げた
『…またな』
殺生丸は背を向けたまま
聞こえるか聞こえないか程の声で
空高く羽根に乗る神楽に零した…
ヒュウ―…
なまぬるい風が
吹き抜ける帰り際
自然と口元が緩んでいた
『またな……か』
それはしっかりと
聞こえていた―…
また会おうという言葉
右手首に残る微かなぬくもり
殺生丸の手は…
神楽が思っていたより
ずっとあったかかった―…
穏やかな風がふいた夏のこと。
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