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「あ―…やってらんねぇ」
こうやって奈落から
少しでも自由になろうと
単独行動をするのはいつものこと
「…よっと」
神楽は谷間まで来ると
乗っていた身の丈程あった
羽根を掌程の大きさに戻し
ヒラリヒラリと己の目の高さまで
舞落ちてくる羽根に
鮮やかな着物からスッと
腕を伸ばし捕らえると
髪に刺し戻した。
《ゴォォォォ》
ちょこんと崖に腰掛け脚をぶらぶらさせてみた。
谷底から吹き上げる風が心地よく
辺りの草がザァァっと揺れた
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