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戦いが始まったのは日が高い昼間の時間だったが、いつの間にか夕暮れへとその景観は変貌していた。
「くそ、いい加減に…!」
「た、倒されなさいよ!」
双子の攻撃は完璧なコンビネーションスタイル。
牽制とトドメを交互に、時にはフェイントをかけて仕掛けてきた。
「まだまだ!」
だがそれもこれには勝てない。
双子故に、二人は常につかず離れず、寄り添って飛ぶ。
だから大振りな起動よりも、細かい撹乱軌道にはついていけない。
ましてや俺は列強最速の機動力と、格闘性能を持つ零戦の後期世代なのだから。
しかし、俺は一つ見落とした。
致命的なミス。そうだ、燃料の絶対値。
「がが…!?」
力なく止まるエンジン。
「そらきた!」
「スキアリ!」
狂気の笑みで、二人纏めて、格闘してくる。
この落下の勢いを利用してやれば…道連れくらいはできる。
チラッと地表を見る。充分に堅い地面が見える。
だが俺はそれを否定した。
ダメだ、やれないよ。
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