正義

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夜中の公園に車が一台停まっていた。 「おーい……起きろ~…」 暗い車内には寝袋を被った男と女がいた。 片方は先ほど起きたのか、もう片方の眠っている青年を起こそうと肩を揺すっている。 「えい!」 青年を起こしていた女性はしびれを切らしたのか、青年にデコピンをした。 「あいっ……つぅぅ~……」 一方…予想外にデコピンが痛いのか、跳ね起きた青年はでこを抑え、うずくまっている 「お~い……遥一くん……起きたかね?もう次の家だよ?」 遥一と呼ばれた青年…狭間 遥一は呻きながら返事をした。 「ふむ……起きたようだな」 女性…三浦 薫は納得したように呟く。 「いや、起きますよ!あんなデコピンじゃ!痛いにもほどがあります!」 突如身体を起こし、叫び始める。 「おぉ……すまないすまない」 悪びれた様子もなく薫は謝る。 「はぁ……先輩もですけど夜から調査に無理矢理行かされてヘトヘトなんですよ…」 遥一は疲れたように呟く。 「別に良いじゃないか!上山が私達を調査に寄越すなんて珍しいじゃないか!」 一方薫は元気良さそうに応える。 二人の職業は警察… 青年、狭間 遥一は二年前に入ったばかりの新人。 女性、三浦 薫は入って四年目の遥一の先輩。 二人はここ最近の連続殺人事件「殺人ピエロ」の新しい被害者の身辺、友人の調査をしていた。 ついでに上山は二人の直属の上司である。
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