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「…~であるからして…」
退屈な授業中。
先生の目を盗んでは携帯を開く。
カチカチ…
受信メール5通。
全部サイトから間接的に送られてくるメール。
一つ一つメールを開いては、女の子らしい可愛い返答を頭から絞り出し、返信する。
「なつきちゃんは彼氏居るの?」
なつきは、創造された人格。
私じゃない人格だから、嘘もたやすかった。
「しばらく居ませんよ(T_T)」
こうしたら、ある程度の人はまた返信してきてくれるから…。
確かにサクラだと何度も疑われ、メールのやりとりが途絶えた相手は沢山いる。
でも、私にとってビジネス。
去るものを追っている暇もなければ、興味もなかった。
カチカチ…
カチカチ…
「-きっ?」
ぼーっと携帯をいじっているとかすかに声が私の耳に届いた。
ぱっと上を見上げると、そこには真里が居た。
「由紀?」
「へっ?なっ…何…?」
反射的に携帯を閉じる。
不思議そうに真里がゆっくり口を開く。
「…なにしてるの…?」
「え?あ~えっと…」
私の不純な行動を軽蔑して見ているようにも感じられる視線に、目をあわせて居るのに耐えきれず、ぱっと目を反らす。
バレちゃった…かな…。
肩をすくめて俯く。
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