偽り

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「次の授業移動だよ?」 「…へっ?」 真里の口から発せられる言葉が想像していたものと異なり、驚きを隠せないまま真里の顔を覗き込んだ。 「だから~!次の科学移動だって!」 呆れながら話す真里の顔を見て肩の力が抜ける。 良かった… バレたかと思った…。 「あ…ごめんごめん。なんかぼーっとしてた!」 頭をポリポリ掻きながら、頭をひねる。 授業が終わったことすら気付かなかった。 まずいまずい… 周りを見渡すと、生徒も疎らにしか居なく、ほとんどは移動を済ませているようだった。 「もぉ!由紀がしっかりしてくれなかったら、私がしっかりしないといけなくなるしょや!」 科学の教科書を胸の前に抱えながら口を膨らます。 「ちょっとー!何さ。たまに私にも抜けさせろっ!」 笑いあいながら2人揃って教室を出た。
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