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窓の外から聞こえる女の子達の黄色い喚声。
廊下から聞こえる生徒達の声。
カチカチカチカチ…
人も疎らになった教室。
カチカチカチカチ…
机の上にスクールバックを置き、その上に突っ伏しながら無表情で携帯のボタンを押す。
カチカチカチカチ…
「由ー紀ぃっ!」
目の前にぴょこんと飛び出してきた影に、一瞬ビクッと体が反応してしまった。
「ちょっとー!ビックリすんじゃん!」
目の前には、制服の裾を揺らめかせながらニッコリ微笑む真里が居た。
「あのねっ!今日オープンだってさ!あの駅前のクレープ屋さん!」
嬉しそうに笑いながら顔を覗かせる。
「そうなんだあ…」
素っ気なく反応を返すと、めげずに熱く、クレープについて語り始めた。
「あそこのクレープね!生地がモチモチで…生クリームが優しく甘くて…甘酸っぱいイチゴとのハーモニーなんだよ…?」
身振り手振りを加え、囁いてくる。
「ぷっ…何それ。今日オープンなんでしょ?なのにもう食べたの?」
つい、真里の必死さに含み笑いになってしまう。
「チラシに書いてたの!ホラっ!コレっ!」
真里を見上げるとキラキラした目で折り込みチラシを目の前に広げてきた。
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