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あまりに目の前すぎて文字がぼやける。
「ねぇ…」
「うん?」
「近すぎて見えない…」
「あっごめんごめん!」
チラシをどけると、ぶつぶつと自分の方にチラシを寄せ、真里が小言を言いだす。
「ほーんと…由紀は冷たいんだから…こんなに美味しそうなのに…お得なクーポンもついてるのになぁ…」
チラっと由紀の方に視線を向けたあと、また続ける。
「ほーんと付き合い悪いよなぁ…こんな素敵な親友が言ってるのに。今までの幼稚園からの関わりを何だと…」
「真里。」
真里の小言を遮るように制す。
「いーくーかーらー!!」
嫌々返した返事にも真里は目を輝かせ、嬉しそうに反応した。
「本当?やったっ!やった!」
チラシをヒラヒラさせながらぴょんぴょんと明るい動きで喜びを表している。
なんだか可愛く思ってしまった私は、つい口元が緩み、微笑む。
「もー!行きたいなら最初から言えばいいのにっ!」
意地悪く笑う真里の肩を軽く叩き、私は立ち上がった。
「ほらっ!行くよっ?」
一足先にカバンを持ち、席を離れると慌ててカバンを持ち、真里も小走りでついてきた。
「早いよー!」
幼稚園から一緒の幼なじみ。
ずっと私たちは姉妹のように過ごしてきた。
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