『好きな色は赤』

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僕の好きな色は赤だ。 小さい頃の塗り絵は半分を赤が占めていたし、絵の具セットや色鉛筆は赤だけを余分に多く買ったりした。 私服は全身赤ではなかったが、絶対に赤は含まれていた。本音を言うなら、全身赤にしたかったが、親が反対した為、僕は諦めた。あの時の僕は親に反抗していない辺り、いい子だったのだろう。 そういえば今思い出したけど、小学生の頃の運動会で1から6年まで赤組だったことは一番良い思い出だったのかももしれない。そして、中学生の一年生の体育祭の時に先生に青組と言われた瞬間が一番苦痛だった。二年生の体育祭の時は、また青組と言われると思い、憂鬱な気分になっていたが、赤組になれたので思わず立ち上がって色々と叫んでしまった。すぐに我を取り戻して席に座ったけど、周りからは小さな笑い声。僕の顔は真っ赤になっていただろう。 ここまでは僕は何もおかしくなかった。おかしくなったのは三年生の体育祭の時――僕が青組だと宣告された後だ。僕自身は覚えてないが、先生曰く僕が鞄の中に入っていた教科書などを手当たり次第に投げた後に掃除ロッカーの中にあった箒を使い、窓やクラスメイト、そして先生などの何もかもを殴っていったらしい。 僕は覚えていない。そんな覚えていない行為のせいで僕はよく分からない場所に閉じ込められた。白と黒しか存在しない部屋に…。どうやら、僕が赤好きなのがいけないらしい。親が望むなら僕は赤をやめよう。
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