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「後継者はラーマとする。」
年老いたダシャラタ王が、退位する事を決意した。
退位式の日取りも決まり、国中が歓喜の渦に巻き込まれる。
聖仙ヴァシシュタもラーマの即位に喜び、神聖な『ヴェーダ』の儀礼に従って即位式の準備をしていた。
そんな彼がラーマを訪ねる。
「貴方の父君は、貴方が王位につく事を望んでます。体を清める為、シーター妃と共に斎戒しなさい。」
斎戒━━━神聖な仕事をする時に、心身を清める事。
ラーマは聖仙の言う通り身を清める。
ヴァシシュタは歓喜する民の様子に、非常に満足していた。
こうして即位の準備は整ったのだが……。
それはバーラタが不在の時に起こった。
「ダシャラタ王、昔交わした約束を覚えていますか?」
カイケーイーがにこっと笑ってそう言った。
「約束……?どんな約束だったかな?」
「2つの願いを叶えてくれるという約束ですわ。」
ああ、と思い出すダシャラタ王。
「何だ?今叶えて欲しいのか?」
「はい。今すぐお願いします。」
言ってみろと王は言う。
カイケーイーはフッと笑って望みを言った。
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