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「1つは、バーラタを王にする事。2つめは、ラーマを14年間森へ追放する事です。」
「な、何だと!?」
いくら約束したからと言っても、それは聞き入れたくない願いだった。
ダシャラタは悩み苦しむ。
「父上、俺を追放して下さい。」
苦しむ父親を見て、ラーマはカイケーイーの願いを受け入れた。
「ラーマ!そんな願い、聞かなくても良いのよ!」
母親カウサリヤーが説得する。
「そうだよ兄さん!王には兄さんがなるべきだ!」
ラクシュマナが叫ぶ。
だが、ラーマは静かに言った。
「父上に約束を果たさせる事が、俺の最高の義務なんだ。」
兄さん……やっぱり格好いい……
「だったら俺も行く!兄さんと一緒に暮らす!」
「お前って奴は……。フッ、勝手にしろ。」
ぱぁっと笑顔になるラクシュマナ。
「もちろん私も行きますからね。」
と、シーター。
「お前は駄目だ。ここに残れ。」
「なぜ?私は貴方の妻ですよ?」
「森にはラークシャサやアスラが居る。お前を危険な目に遭わせたくない。」
だが、シーターは微笑んで言う。
「貴方にどこまでも従う事が、私の最高の義務なのです。」
その言葉に目頭が熱くなる。
「後悔するなよ……。」
しないわと言うシーターを抱き締め、共に暮らす決意をした。
民衆とダシャラタ王の嘆きの声の中、ラーマとシーター、そしてラクシュマナは追放の旅へと出発する。
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